ちはやふる36巻感想---「対」の恋歌(2)

次に20巻からの二人とちは札の流れを見てみたいと思う。

Caution!
ちはやふる36巻感想---「対」の恋歌(1)からの続きです。37巻掲載予定の話も出てきますので、コミックス派の方はこの先読まれない方がいいと思います。また今回の話は、「カササギとちは札(1)」及び「カササギとちは札(2)」の再検証となります。


ちは札攻防戦



勝利への流れ



まずは21巻の太一vsポカ作。
何になりたいか分からない太一は、カルタに情熱を見いだせない。
守りカルタを発揮するも、ちは札を取られ負けてしまう。

一方なかなか自陣にちは札の回ってこない新であるが、ようやく23巻の原田戦でそれが巡ってきた。
しかし手放すことが出来なくて負けてしまう。
これは同じようなことが告白シーンにも表れている。
好きと言いつつその場から離れてしまったのは、告白を聞いて固まってしまった千早に返事を聞くことを躊躇したからだ。
これは胸キュンシーンというよりは、新の弱さを表しているように思う。
新には当たって砕けろという恋を攻める勇気が、あと一歩足りなかったのだ。

26巻ではいよいよ新と太一の戦い。
ちは札と結びついている太一は、それを新に送って堂々と宣戦布告。
しかし新はそれを受け取るも、手放す勇気がなかった。
太一にカルタへの情熱がないのと実力差とで新が勝利することは出来たが、ちは札はドローの状態、最後まで読まれることはなかった。
そして新は決勝の村尾戦で気持ちを引きずり負けてしまう。

その後太一は千早に告白するも断られてしまった。
カルタに情熱を見出せないままでは、それを手に入れることは出来なかった。
太一は告白の前に、なんとしてでもカルタの情熱を持つべきだったのだ。

そして36巻と37巻掲載予定の話。
高校選手権で恋の痛みや強さ弱さを経験してほんの少し成長した新は、自陣に送られてきたちは札をやっと手放し、それを味方にして勝利することが出来た。


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しかし太一はここまで来て未だに情熱が見いだせない。
勝ちにいくか何もかも諦めるか、カルタを続けるか辞めるかの瀬戸際で決心したのは、自分からちは札(恋心)を切り離すこと(「たまのおよ」188首)。


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最後に攻め取ったその札は、自分の内にはない情熱そのものだった。
太一がカルタを続けるには、他の何かからそれを得るしか方法はなかった。
太一は「情熱」というちは札に助けられ、ようやく勝利することが出来たのである(189首)。


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これで二人のちは札を巡る戦いに一先ず区切りがついた。


ちは札が戻っても…



千早にちは札が戻るのはいつだろうか。
少女漫画だというのにいつまでたっても恋の自覚をできない女の子なんて、いくら恋に疎い千早と言えども読んでいて本当に辛くて可哀想すぎる。
しかしそれが戻ったところで、新は手放している最中だし太一はそれを情熱に変えてしまっている。
千早の思いの先は一体どうなることやら…

千早はちは札が何であるかをまだ完全には理解できていない。
真っ赤な恋の歌、好きな人に会いたいと思う札だとは分かっている。
しかしちは札の本当の意味は「会えなくて切なくて苦しい気持ち」だろう。
これが分からない限り本当の意味でのちは札は取れていない。

千早の恋の時計は17時の辺りで止まったまま。
ラストまでに、時計の針をもうほんのちょっとくらい進めてくれてもいいんじゃないかな、進めてもらえないかな…とも思っている。

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