太一星【タイイツセイ】

今回は太一が「北極星」という自分になっていく経緯について考察しようと思う。


太一とは



以下コトバンクより抜粋。

太一【たいいつ】

1 中国の古代思想で、天地・万物の生じる根源。宇宙の本体。
2 天を主宰する神の名。北極星の神格化されたもので、古代中国、特に漢代に崇拝された。


また北極星には「太一星」という呼び名もある。

太一星【たいいつせい】

1 中国の天文学で、北極星をさす。
2 陰陽道(おんようどう)で、北天を運行して兵乱・禍災・生死をつかさどるという星。


あらゆる星が北極星を中心に巡ることから、古代中国ではこの星を全宇宙に司る星とし、最高レベルの神として崇拝するようになった。
人の運命を左右する星であり、太一の得た力「人を操るカルタ」に通じるものがあるかもしれない。
また千早と新の運命を握っているのも太一であると思う(「かささぎとちは札(1)」参照)。


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連載100回で描かれたビラブの表紙。
千早と新の戦いを見守る読手の太一が、非常に印象深いイラストだと思う。
(ちなみにもうすぐ連載200回。どんな表紙になるのかな~すっごい楽しみ^^)

また同じく陰陽道に関係するものとして「太極」というものがあり、これは「tàijí、タイチー」と発音する。

太極【たいきょく・タイチー】

中国哲学において、すべての物の実在を規定する唯一の根元をいう。戦国時代の道家の間から、すべての物は一元から展開し、唯一性を有することが考えられ、これを太一と名づけた。…太極は宇宙または個々の物の本体、つまり存在ならびに主体の唯一の真理であるという重要な概念となった。


太極とは、陰陽思想と結合して宇宙の根源として重視された概念である。


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実はこの絵(太極図)、27巻の最後で千早がケータイを持って泣いているシーンに出ている。


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3つ描かれた太極図はそれぞれ新・太一・千早の関係性を表していると思う。
これについては後日考察したい。


北極星と夏の大三角形



それでは漫画で具体的にどのように描かれていたのかを検証する。


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勝ちにいくと心に決めた太一は、千早と自分を繋ぐ「何か」を断ち切る。


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この時太一は新のところへは自分で行くと決意した。


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須藤戦終盤。太一は「なにわが」を左上段内側、「たち」と「たれ」を右下段に揃えた。


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これがこの時の札であるが、意味と配置に注目したい。

  • 「たち」は太一、「たれ」は孤独を詠む歌であることから、これは太一が一人になったこと(北極星)を表す。
  • 「ちは」は千早(ベガ)。
  • 「こぬ」は33巻で新と千早の藻塩、つまりかささぎ(デネブ)の役目を果たした札。
  • また「なにわが」の難波潟は大阪湾の芦の群生地。芦の原、つまり芦原=あわら市の新(アルタイル)に繋がる。「ちはやと覚える百人一首」34、35ページ参照。

「なにわが」から下を反転すると、北極星および夏の大三角形の配置と同じになる。


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北極星にはこの星の周りに明るい星がないので「北の一つ星」とも呼ばれる。
太一が一人で戦うことを選んだのは、この呼び名を踏まえているからだと思う。


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「新と千早の所に行きたい」という思いとともに描かれていた背中の星々。


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ここには夏の大三角形が隠されている。


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これは夏の大三角形の写真だが、先ほどの絵と重ねてみると


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ベガ・デネブ・アルタイルの位置がぴたりと一致した。
少し見づらいが、他の星の位置も合っている。
ただし周りの星が強めに書かれていたり省略されたりして、大三角形が随分とカモフラージュされている。


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同じページの上下のコマを重ねてみると、アルタイルの対極にはしっかりと北極星が描かれていた。
これにはちょっと感動した。さすが末次先生、本当に芸が細かい!


結論



末次先生が監修された小説版にも、ある重要な場面で天の川や宇宙の星々の話が出てきている。
以上のことから、千早・新・太一の関係性はベガ・アルタイル・北極星でほぼ間違いないと思う。

「ちはやふる」という作品は、競技カルタを舞台に神話・宇宙・和歌の謎を散りばめた、壮大な少女漫画ファンタジーの要素を持っている、と思う。

それでは、太一が「北極星」になる前は何だったのか。
また太一と千早を繋げていたものとは一体何だったのか。

次回は太一と千早の関係性を、和歌・星・心理学の面から一歩踏み込んで考えてみたいと思う。
posted by とかさま at 00:00考察

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