ちはやふる中学生編9首感想---かるたの神様

BE・LOVE 2018年9号掲載


由宇から手渡された一本のビデオテープにより新には新しい目標が芽生える。祖父とカルタの思いを胸に彼は再び前へと歩きだした。そして舞台はとうとう「あの日」へと…


ビデオテープと新たな目標



由宇のビデオテープに映っていたのは綿谷名人と佐藤元名人の対戦であった。
佐藤先生のたった一枚を狙う正確な取りに比べ、祖父の取りには圧倒的な迫力がある。歌舞伎や能といった舞台芸能を見ているような強く美しい取りに、新は忘れかけていた祖父のカルタをようやく思い出すことができた。

ちなみに「じゃみじゃみ」という言葉がたくさん出てくるけれど、これは福井弁でテレビのノイズという意味。
今ではデジタル化に伴いテレビのノイズもほとんど出なくなり、福井の今の若い子は果たしてじゃみじゃみって意味が通じるのかなとちょっと疑問。わたしの息子には通じませんでした。
じゃみじゃみでわたしが思い出すのは「ポルターガイスト」とか「リング」とか。テレビのノイズを見るたびに手が飛び出してくるような恐怖心に煽られるのですが、まあどうでもいい話です。


カルタの神様の映像は新の身体も気持ちも軽くした。
この心をどうのようにしたらキープすることができるのか考えた末、マイナス思考は絶対にしないという結論に達し、ポジティブシンキングで自己暗示をする訓練を始める。
常日頃からの祖父の教えであった一番良い時の「イメージ」の確立である。

それは南雲会での村尾さんとの練習試合にも効果が表れる。
この時の彼は大学4年生、もしくは4月であれば社会人一年生。本編では関西の大学、小説では地元の大学となっているが、漫画中学生編ではどちらを採用しているのかは定かではない。「久しぶり」と言っているから関西の方が可能性高いかな。
南雲会のエースである村尾さんを4枚差まで追い詰めた新は、まるで綿谷名人を彷彿させるような戦いぶりであった。

常にリラックスできるよう心を柔軟にコントロールすること。
新の理想とする祖父の最高のカルタ、大海原から寄せる波のような動きのあるカルタを再現すること。



A級になることと併せてこれらが新の新しい目標となり、それは彼を前へと進める良いモチベーションになったのである。


arata9.jpg


一番になる



介護する側に心に余裕が生まれると、介護される方の気持ちにも変化が生まれる。
何日かに一度だけ、カルタの神様が気まぐれに祖父を蘇らし元通りになる瞬間があった。
ほんのわずかな瞬間ではあるが、新にとってはそのひと時がおおきな救いである。

一番うれしいのは… 新がかるたで一番になることや

本当に嬉しいことは何かという新の問いに、祖父は優しく微笑みこう応えてくれた。

それは図らずも、かつて太一の母が息子に投げかけたものと同じような言葉であった。しかし両者ではまったく意味は異なる。
太一母が「太一」という息子をコントロールして自分の価値を高めようとするものならば、新の祖父の言葉は孫の成長と喜びを考えてのものである。
一方は依存と価値観の押し付け、自己満足の偏った愛情であるならば、もう一方は信頼と献身からなる深い愛情である。この違いを決してはき違えてはならない。

おれじいちゃんになる かるたで一番なのはじいちゃんやで だれよりも強いじいちゃんのかるたを…みんなに忘れてほしくない じいちゃんにまた会えるって 思ってほしいんや

カルタのお陰で立ち直ってくれた新を見て、由宇もどれほど嬉しかったことか。ガンバレ、ガンバレと祈る由宇の気持ちはそのまま読者の願いでもある。

この強くて純粋な気持ちが、どうか未来に繋がりますように…どうか、どうか……(号泣中)


あの日



さてとうとう来た「あの日」のお話。
B級決戦で当たったのは…なんと〇〇くん!?
小説では武村さんだったので、予想外の展開になんじゃこりゃー!?と思わず仰け反ってしまった^^;
これって付き添いの須藤さんを出したいだけの単なる読者サービスではないだろうか…いやめっちゃ嬉しいですけど(笑)
ああだから京都大会を飛ばしたのか…なるほど~
対戦相手は誰なのか、気になる方は是非BELOVE本誌にてチェックしてみてください。

さて火曜日大阪あべの原画展に行ってまいりました。ホント素晴らしかったです!写真カシャカシャと100枚以上も撮りまくりました。今日も二回目行く予定(* ´艸`)次回レポします。