ちはやふる中学生編16首感想---千早の友情

BE・LOVE 2018年20号掲載


舞台は中二の春から秋にかけて。千早は陸上部に入部し、みちるとの友好を深める。


千早とみちるの友情



前回15首から、時は1年前まで遡る。

千早は学年が上がっても親友のみちるとクラスが一緒であった。学級委員や生徒会活動、部活動などに勤しみ忙しい日々を送るみちるであったが、千早は相変わらず一人のまま。少しでも長くみちると一緒にいたい千早は、とうとう陸上部に入部することになる。

「ちーちゃん」と親しげに呼んでくれる友達は、世界でただ一人、みちるしかいない。彼女は千早にとって自分の世界を広げてくれる、架け橋のような存在であった。


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千早は孤独を自覚するのが苦手だ。陸上部に入ったのは決して一人が寂しいからという理由ではないと、千早は自分に言い聞かせる。目的はあくまでも「カルタ」のため。(これもヒドイがww)

月・木・土日と参加していた白波会への練習は確実に減っていった。休日にも部活の大会や練習が入るため、カルタの練習はままならない。けれども短距離のスタートダッシュ時の瞬発力や音を聞き分ける能力、体力作りなどはすべてカルタに繋がるし、無駄なことは一つもないと、自分を鼓舞していく。みちるはそんな正直な千早に苦笑いするしかない。

しかし中途半端な千早の陸上への熱意は、いくら素質があろうとも周りの反発を食らうことがある。

捻挫をしたみちるの代わりに大事な大会に出ることと、カルタの大会に出ることを天秤にかけてしまう千早に、みちるは思わず眉をひそめる。みちるにとって次の大会は、ようやくリレーのレギュラーを勝ち取った大事な大会であった。ケガをして悔しくてたまらないのに、そんな自分の気持ちを千早は全く理解してくれていないのだろうかと、みちるは唇を噛む。(千早はあまりにも正直すぎるといいますか、「無自覚の毒性」と言った真島太一の千早評は、言い得て妙ですね…)

綾瀬さんに私の代わりを任せたくありません

みちるの表情はうつむいて読めない。しかし彼女の周りには、目に見えない小さな棘が埃のようにゆらりと浮遊している。気安く触れてはいけないような、普段の温和なみちるとは明らかに違う空気が、彼女の周りに漂っていた。

「ちーちゃんにとっての陸上って何?」と問われた千早は、咄嗟に答えられずに息を飲み込む。無数に漂う透明な棘と一緒に。肺に入った棘は、家に帰ってからも千早の胸の内側をチクチクと痛め続けた。 

真剣にやってる人には真剣にやってない人がわかるんだ

新からもらった情熱を思い出した千早は、陸上への熱意が足りなかったことを素直にみちるに謝った。みちるもまた、ケガで焦っていた苛立ちを千早に当たっていたことを謝り、お互いに友情を確かめ合う。陸上を優先して結局カルタの大会はキャンセルとなってしまったが、千早の寂しさを誰よりも知る原田先生もそれを快く了承してくれた。これからは陸上にも(もちろんカルタにも)真剣になると、千早は自分に誓う。

そして半年後。千早は市大会にまで出場できるほど着実に実力をつけていた。しかしその本番でケガをしてしまい足を抱え込む。ちなみにこの展開、原作にありませんので全く先が読めません。どうなる千早、次号へ続く。

千早の話は明るくて素直で安心して読めますね。これに比べて本音を言えない男と内気すぎる男二人の友情の、なんと泥臭いこと(笑)いろんなものをズルズルと引き摺っていた二人が仲良くなるまで、本当に随分と時間がかかりました。それ故、千早とみちるちゃん、千早と奏ちゃんとの友情が、秋のそよ風が山肌を優しく撫でるように爽やかで、作品の中で際立っているのかもしれませんね。