ちはやふる中学生編18首感想---思いよ繋がれ

BE・LOVE 2018年22号掲載


最終回。中学卒業から瑞沢高校入学まで。門出祝いとして、原田先生はあるものを千早に授ける。


ちは札勝負



成績にかなりの不安はあったものの、涙ぐましい努力の結果、千早は瑞沢高校に無事合格する。千早とみちるはお互いの健闘を称えあい、友情に感謝した。

しかし千早はここで立ち止まるわけにはいかない。卒業式が終わってすぐに、その足で白波会に駆けつける。目標は「原田先生からちは札を取ること。」この課題を乗り越えなければ先に進むことはできなかった。千早は原田先生との真剣勝負に挑む。

ヒョロと同じように千早も変わった。強くなった。それは友達になってくれたみんなのおかげだ。みちるはカルタに興味がないにも関わらず、無二の親友になってくれた。みちるのおかげでカルタ以外のたくさんの友人もできた。練習をたくさん積んで、札とも今では大親友。そしていつかきっと会うと約束した、大切な、大切な二人の仲間。今まで出会った多くの人たちが勇気をくれる。勇気は彼女の自信になる。自分を信じることができる。

友達と離れるのももう怖くない。千早はちは札を手放した。必ず取ると、勝負に出て。

わたしは一人じゃない。わたしは、たくさんの仲間たちと繋がっている。絶対に、そう信じる。


仲間に必ず会いにいくという強い心の光に呼応するように、ちは札は千早にその身をゆだねた。まるで札自身も、千早の仲間になりたいと願ったかのように。試合には負けて、原田先生との間には依然として8枚もの実力差はあるけれども、それでも千早は「ちは」を手にすることができたのである。


情熱の木



ちは札は取られてしまったが、弟子の成長にこれほど嬉しいことはないと、原田先生は相好を崩す。彼は賛辞として、千早の支えになるようにと、一本の苗木を千早の心に贈った。

振れない人間になりなさい 卒業おめでとう
chihayaJHS18.jpg


千早にはこれから様々な出会いがある。出会った人とたくさん戦い、たくさん勝って、たくさん負けていく。仲間と切磋琢磨しあいながら、楽しい時もあれば悔し涙を見せることもある。万華鏡の底が抜けて、ガラスのビーズが飛び散ってしまうような痛みや苦しみを味わうことだってあるだろう。

けれどもどんな時でも、原田先生がくれた木はきっと千早を助けてくれる。大地に喰らいつき、年輪のしわを幾層にも増やし、太陽に向かって手を伸ばしていく、一本の木。「勝ちたい、絶対に勝つ」という気持ちを栄養にして、空に浮かぶ炎の星が本当に手に入るかのように、木はどこまでも伸び続けていく。

千早のすごいところは、「どうせ無謀だ、できっこない」と思われることでも、絶対に諦めず果敢に立ち向かうことだと思う。彼女は必ずできると本気で信じ、信じることを強さに変えてしまう力がある。飛び散った無数のビーズをすべて拾い上げようとする努力、そして太陽さえも掴もうとする信念。わたしが千早に魅かれるのは、何があろうとも彼女がこのエネルギーを決して絶やさないところにある。紙とインクの世界を飛び越えて、千早は読者にまでそのエネルギーを分け与えてくれている。

千早はこれからもまっすぐに歩き続ける。高速回転するコマの軸のように、どんな風が吹いても倒れない太い幹を支柱にして。情熱という紅葉を仲間たちに届けながら。

いつしかこの木は隙間がないほど紅葉を空に張り付けて、あたり一面を燃えるような夕日色に染めあげる。千早の育て上げた樹々に導かれるように、幼馴染の三人は、幾千もの紅葉が見守るトンネルを抜けていく。カルタがあるから、きっとまた会えると千早が予言したとおりに、札は三人の思いを繋げ、道は結ばれ、彼らはやがて巡り合う。それは「ちはやふる」という千年前の歌が紡いだ、一つの奇跡の物語だった。

とうとう最終回です!最後は隠れキャラ満載で楽しかったです(^o^)中学生編を読んで、たくさん笑って、たくさん泣いて、たくさんの感動をもらいました。末次先生の「ちはやふる」の世界観をしっかりと受け継いだ、おと先生の描く「ちはやふる」もまた、わたしの大好きな作品の一つとなりました。千早は可愛かったし、太一も新も詩暢もみんな素敵でした。あ、もちろんチビスドー、もとい須藤さんも(笑)ここまで千早たちを大事に育てていただいて感無量です。本当にありがとうございました!